京都の夏といえば、
「コンチキチン」の祭り囃子とともに、
古今東西の銘品を絢爛豪華に飾った
大小様々な山や鉾と呼ばれる山車を通りにならべ
ゆらりゆらりと京の町をを練り歩く祇園祭がある。
祭りの主役とも言える山鉾は、
室町通りや新町通りを中心とした鉾町によって自治管理されており、
普段は分解され倉庫にしまってある。
夏の出番には各町の町人を筆頭に再び組み立てて直し、
町自慢の、個性豊かな山鉾が立ち並ぶのだ。
毎年同じ様に組み立てる山鉾は、
基本的に、見た目だけでなくサイズも同じ組み立て直され、
毎年の姿で訪れる人を楽しませるわけだが、
実は「立ち位置」も同じ様に決まっている。
山鉾は重いもので10トン以上になると言われ、
京の暑い夏ではアスファルトがゆるくなり、
そのまま山鉾を建てる作業をしてしまうと傾いてしまう危険があるため、
礎石を埋め込み、その上で組み立てることによって
安定させるという役目もあるという。
礎石はすべての町にあるというわけではないが、
新町や室町を歩いていると比較的多く見つかる。
昔から同じことをなんどもなんども繰り返し
守り続けられてきた伝統や歴史の痕跡が、
なにげに歩いているとふと見つかるなんて、
いかにも京の町らしい光景だ。